やっぱりドビュッシー

今日は友人からのお誘いで、オペラシティでの辻井伸行さんコンサートに行ってきました。辻井さんは盲目のピアニスト、世界のコンクールで優勝ということで、TVでも大きく取り上げられ、普段クラシックを聴かない方もご存知でしょう。私も久しぶりのクラシックのコンサート、ワンピースを着て初台へ。


聴くまでは、やはり盲目というハンディがあることで話題になっているのかな、という穿った気持ちもありましたが、こんなひねくれた心もまっすぐにしてくれる良い演奏会でした。


前半はベートーベンのピアノソナタ第29番変ロ長調作品106『ハンマークラヴィーア』。この曲初めて聴きましたが、すごい大曲。ちょっと低音の調律が悪かったのか、?という部分があったし、第三楽章(約20分)を聴かせるにはもうちょっとかな、と思ったり(私も飽きてしまったし、両隣とも眠ってしまっていた)もしましたが、休憩、調律を挟んだ後半は素直に楽しめました。


後半はドビュッシーの『映像』から。タイトルを知らずに聴いたのですが、音の響きが三角形のコンサートホールに次々と浮き上がっていくような、まるで水面に泡がキラキラと浮き上がっていくような、そんなイメージ。またコンサートホールでドビュッシーを聴きたい。私が個人的にドビュッシーが好きということもありますが、TVで取り上げられている辻井さんの演奏は、リストのようなテクニック重視の曲が多く、「テクニックが凄いピアニスト」が全面に出されていましたが、こういう曲もちゃんと取り上げればいいのに。



一瞬Jazz?と思わせるマストの『即興曲とフーガ』も面白かったです。アメリカ人作曲家がニューヨークのコンクールに書いた曲だそう。やっぱりね。


トリプルアンコール、最後の曲は「〜感謝の気持ちと今の思いをこめて即興演奏をします」ということで、思わず拍手と一緒に「whoo!」と言ってしまった私(ここはjazz clubじゃありませんよ!)。即興演奏といってもモチーフがあって、それをその場で発展させて演奏するという感じでしたが、彼の素直な明るさとか喜びがそのままでていて良かったです。なんというか、幸せな童話、という感じでしたね。


辻井さんの音楽に対するまっすぐな姿勢、明るく素直な人間性があふれるコンサート。友人と「あー、練習しなくっちゃねえ」と話しながら帰途につきましたとさ。