青い地球は誰のもの

作詞:阪田寛夫/作曲:冨田 勲
小学校の時に合唱で歌った曲で、ふと最近歌いたくなりました。歌詞は「青い地球は誰のもの」しか出てきません。ですが、とてもとても美しい曲。阪田寛夫氏は「さっちゃん」を作詞された方。冨田勲氏は映画音楽などで大活躍の作曲家(実は慶応大学卒)。

先日のボサノバライブで、青梅から大塚へ向かう途中、恩師である小学校の音楽の先生、橋本研先生に偶然会いました。青梅特快東京行、一番後ろの車両にて。相変わらず恰幅の良い先生の隣はちょっと窮屈だったけど、ライブの前に私の音楽の原点である先生にお会いできてとても心が豊かになりました。先生に「近々『青い地球は誰のもの』を歌いたいんですよ〜」とお話したら、昨日母経由で楽譜をいただきました。先生ありがとう。ピアノで弾いてちょっと歌ってみたけど、やっぱり美しい曲です。


懐かしくなったので、ちょっと思い出話を・・・。

小学校時代、クラブ活動というものがありました。確か木曜の午後1時間、普段のクラスとは別に4.5.6年生混ざって活動するというものです。私は第一希望の「バスケットボールクラブ」第二希望「料理クラブ」を抽選で落ちて、横文字がカッコイイという理由で適当に書いた第三希望の「リコーダークラブ」に入ることになりました。第一希望、第二希望に落ちた私は少々落ち込みながら、第一音楽室の扉を開いたのでした。「リコーダー」って「縦笛」ということがわかったのはその後のこと。「リコーダークラブ」が毎朝授業の前に朝練習をするということがわかったのは更にあと。「青梅一小リコーダークラブ」が全国コンテスト出場常連校ということがわかったのはそのだいぶ後のことでした。そのクラブの顧問が今でも私が大好きで心から尊敬している橋本先生です。

毎朝7:30に小学校に行くのは、今でも遅刻魔の私には結構大変なことでしたが、音に溶け込むことが幼心に心地よく、遅刻はしても(苦笑)サボることなく3年間通いました。朝練の始めはロングトーン。C管はGから、F管はCから順番に全員でロングトーンをします。30人以上でのロングトーンはまるでパイプオルガンのような音になり、その中に溶け込むのは一種の快感でもありました。その後、パートに分かれて練習、朝練習の最後に全体で合奏(オーケストラ)の練習をします。
音感の良さを見込まれ、合奏の他に重奏を組ませてもらえました。合奏も気持ちよいですが、ワンパート一人の重奏が私は結構好きでした。重奏でのリコーダーのピッチはとても微妙なもの。息遣いひとつで狂ってしまいます。でも4,5人でしっかりハーモニーを作った時の気持ち良さったら。ちゃんとハーモニーが作られると鳴らしている音以外の音(倍音?)が聞こえます。私は勝手に「神様の音」と呼んでいました。このとき養った音感は今でも私の歌の基礎になっています。重奏の練習はメンバーそれぞれの家を順番に訪問して放課後から夜にかけて練習。半分遊んでいる状態でしたが、とにかくとても楽しかったのです。重奏では全国大会金賞1回、合奏では3回(毎回)いただき、青梅市芸術文化奨励賞をいただきました。

同時に青梅市の児童合唱団にも入り、その顧問もまた橋本先生でした。こちらの合唱団は青梅市の小学生が集まってくるので他の学校の小学生たちとも知り合うことができ、合宿もあったりして、幼心に刺激がありました。中でも印象に残っているのは国立音大付属小学校の小学生だった佐瀬さん。さすが音大付属小、ピアノもめちゃめちゃ上手で、しっかりとした音程で歌っていました。この佐瀬さんとは大学生のとき明治ビックサウンズで劇的な再会を果たすのですが、その話はまた今度。

その合唱団では、先生の趣味というか趣向で、あまり合唱くさい曲は歌いませんでした。ディズニー、カーペンターズ、ミュージカル、これって今でも私が歌っている曲たちです。私の声は当時よく目立っており(つまり合唱向きではないのですが)、よくソロを歌わせていただきました。人前で一人で歌った経験はこれが最初です。一番心に残っているのは「ともだち」という合唱組曲の「別れ」という曲。ソロといっても部分的なものでなく、丸々一曲メロディを一人で歌う曲なのです。1番はピアノとソロ、2番でコーラスが「Ah-」と入ってきます。大勢の音をバックにソロで歌うのはなんと気持の良いことか・・・そしてなんと責任の重いことか・・・。橋本先生の知り合いの声楽の先生に何回か徹底的に個人レッスンを受けて仕上げました。スパルタで厳しかったけど、しっかり声を引き出してもらった記憶があります。そしてこの頃の経験はすべてそのまま今の私の歌に生かされています。

私の良さを充分に引き出してくれた橋本先生ですが、決して「えこひいき」はせず、ダメなところはかなり厳しく指導していただきました。クラブ活動では、先輩が後輩を指導するような組織を作って、子供ながらも役割分担がしっかりあり、その組織力が全国大会金賞という結果をもたらしたのでしょう。

子供を上から見るのではなく、同じ人として接してくれた先生。今でも青梅市児童合唱団、小学校の金管バンドをご指導されているそう。音楽好きな子供が一人でも増えますように、先生のご健康とご活躍をお祈りいたします。先生、また今度ライブに来てね。そのときには「青い地球は誰のもの」を歌いますね。